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星の王子様 [鑑賞記録]


星の王子さま (新潮文庫)

星の王子さま (新潮文庫)

  • 作者: サン=テグジュペリ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/03
  • メディア: 文庫



サン・テグジュペリ著。
河野万里子訳(新潮文庫)。

童話として有名なこの本を大学4年にもなって初めて読んだ。
今度、彼女と箱根にある星の王子様ミュージアムに行こうということになったので、その前に本書を読んでおくべきだろうということになって読んだ。

以下、ネタバレが含まれるので注意。


・あらすじ

砂漠に不時着した飛行機のパイロットが、地球に来ていたある星の王子様と出会う。

物語の前半は王子様が地球以前に旅した星で出会った大人のことについて書かれている。後半部分ではパイロットと王子様のやりとりが描かれる。

王子様は子どもの視点から、王様や酒びたり、実業家や地理学者など、大人を見ていく。子どもの視点ながら、王子様の批判は彼らの矛盾をするどく指摘する。

そんな王子様が、キツネから教えてもらった秘密、

「いちばんたいせつなことは、目に見えない」

これがこの本の主題になっていく。


後半以降はパイロットとの触れ合い、そして別れが描かれる。

王子様と心を通わせていくうちに、初めは飛行機の修理が進められないので王子さまのことを多少疎ましく感じていたパイロットも、別れが辛くなってしまう。

結局、王子さまは自分の星にかえってしまい、夜空に輝く無数の星のどれかになる。


・感想

サン・テグジュペリは自分自身が飛行機パイロットとして活躍したことがあり、不時着したパイロットがテグジュペリの分身であることがよく言われていて、王子様も自分の子ども時代を振り返って、自分と、まだ子どもだったころの自分の対話として描かれれているといった読み方がよくなされているようだが、確かに自分もそれには納得した。

飛行を一つの人生に例えるとしたら、砂漠に不時着するというのは、何か行き詰まりにぶつかることを想起させる。

まわりには何もなく、助けを呼ぶ相手もいない(もっとも無線くらいつかえそうなものだけど)孤独。
そんな中で、ふと、今の自分を振り返ってみる。

パイロットと王子様のやりとりを読みながら、そんな光景を思い浮かべることができたのだ。

なにごとにも純粋だったころの自分が今の自分を見たら一体どう思うんだろう?
大人になろう、なろうとしてうまく生きることに一生懸命になって、ここまできたけれど、いつの間にか様々な食い違いを内に取り入れてしまった「大人」の自分を。。

東京に出てきて3年とちょっと、思い当たることがあるからか、そんな風に読んでしまった。
誰しもそういう側面はあるんだろうと思うんだけれども。


そんなパイロットに対して、王子様はやさしい。少なくとも僕にはそう感じた。
決して他人を否定しない。王子様の包容力にはびっくりした。

水を探し求めて歩くパイロットに、「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をひとつかくしているからだね…」とやさしく囁く王子様。どこかにある宝物を探しながら歩むからこそ、人生は楽しいということだろうか。


純粋な視点(=自分の原点)をつねに見失ってはいけないなあということと、他人に対して、媚びず、また否定もしない、だけどどこか示唆に富んでいて前向きな王子様のようなあり方を目指したいなあと思わせてくれる一冊であった。
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